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高血圧症

はじめに

高血圧症は、日本人の最も多くの人が持つ生活習慣病であり、脳卒中や心臓病を引き起こします。わが国で、亡くなる原因の第1位はがんですが、脳卒中と心臓病で亡くなる人の数を合わせると、がんで亡くなる人に匹敵します。多くの人が、がんになって亡くなってしまうことを恐れますが、実際は、それと同じくらいの人が、高血圧による病気で亡くなっているのです。

高血圧症は自覚症状がないことから、放置されていることも多く、日本人の3人に1人が高血圧症とされています。その3人のうちの1人は自分が高血圧であることを知らず、10人に1人は自分が高血圧症と知っていても治療していません。高血圧症の患者さんは、まずは、自分が高血圧症であることを知り、次に、高血圧症を治療することが必要です。

ツノクリでは、高血圧症の患者さんが、将来、脳卒中や心臓病にならないよう、食事や運動の指導をしながら、高血圧症と上手にお付き合いする方法を提案します。そのなかで、お薬を飲んだほうが良さそうであれば、お薬を飲むことも提案します。皆さんにとって大切なことは、お薬を飲むかどうかではなく、できるかぎり長い間、元気でいられることだと思っています。

診断と治療について

Q1.高血圧は、どのように診断されるのですか?

上の(収縮期)と下の(拡張期)血圧が、下の場合に高血圧症と診断されます。

   診察室での血圧が、140 / 90 mmHg 以上
   家庭血圧(自宅での血圧)が、135 / 85 mmHg 以上

診察室でも自宅でも、収縮期でも拡張期でも、どれかが基準値を超えれば高血圧症です。

Q2.高血圧は治療しなければいけませんか?

はい、治療する必要があります。

わが国では、血圧が高くなれば高くなるほど、脳卒中と心臓病が増えることが知られています。例えば、40歳から64歳の日本人を対象とした2012年の調査によると、血圧が180/110mmHg以上の人は、120/80mmHg未満の人と比べて、脳卒中と心臓病になる人が約9倍も多かったことが分かっています。

一方、幸いなことに、わが国の平均血圧は徐々に低くなっており、脳卒中と心臓病も減っています。その理由として、健康診断で自分が高血圧症であることに気が付いたり、食事や運動などに注意するようになったり、血圧を下げるお薬が広まったことなどが考えられています。高血圧症の患者さんは、まずは、自分が高血圧症であることを知り、次に、高血圧症を治療することが大切なのです。

血圧の測定方法について

Q3.どこで血圧を測定すれば良いですか?

診察室と自宅の両方で測定することが望ましいですが、どちらかといえば、自宅で測定した血圧がいつもの血圧(家庭血圧)という意味で大切です。

自宅で測定した血圧を家庭血圧と呼びます。一般的に、家庭血圧は、診察室血圧に比べ5mmHg前後低いことが知られ、基準値(→Q1)が5mmHg異なるのもそのためです。

Q4.いつ、どのように血圧を測定すれば良いですか?

自宅では、家庭血圧として、毎日、朝と晩に自動血圧計(→Q5)を使って測定することをお勧めします。

  1. <家庭血圧を測定する時間>
    1. ✓朝:朝起きて、トイレに行き、1分間以上安静にして(朝食前に)測定します
    2. ✓晩:寝る直前に、1分間以上安静にして測定します
  2. <家庭血圧を測定する状態>
    1. ✓静かで温かい部屋の中で、座って測定します
    2. ✓1分間以上安静にした後に、会話をせずに測定します
    3. ✓煙草を吸ったり、お酒を飲んだりしてから測定すると正確に測定できません

Q5.自宅ではどのような血圧計を使えば良いですか?

日本の企業が作る上腕式(腕で測定する)の電子血圧計をお勧めします。

ツノクリがお勧めする家庭用自動血圧計の基準は、①オムロンもしくはテルモ製 ②上腕式で巻きやすい腕帯 ③大きな画面とシンプルな機能 です。具体的には、以下の自動血圧計をお勧めします。

オムロン上腕式血圧計

HCR-7106

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※日本高血圧学会のサイトでも紹介しています

https://www.jpnsh.jp/com_ac_wg1.html)。

高血圧の管理と治療

Q6.高血圧にはどのような原因がありますか?

はっきりした原因が分からない「本態性高血圧症」がほとんどですが、若いのに血圧が高い人や極端に血圧が高い人の中には、血圧が高くする別の病気が潜んでいる2次性高血圧症(→Q7)ことがあります。

Q7.2次性高血圧症の原因にはどのようなものがありますか?

2次性高血圧症の原因には、主に次の2つがあります。

  1. ①内分泌性高血圧症
    1. 血圧を上昇させるホルモンの量が増えることによって、血圧が上昇します。内分泌性高血圧症が疑われた際には、まず、ホルモンの量を調べるために、血液検査を受けます。血液中のホルモンの濃度が高ければ、次に精密検査(CTや超音波検査など)を受けることになります。
      ツノクリでは、若い人の高血圧症と血圧が極端に高い患者さんには、複数あるホルモンのうち、少なくともアルドステロン(とレニン)および甲状腺機能は測定することをお勧めしています。
  2. ②睡眠時無呼吸症候群
    1. 夜間、寝ている間に呼吸が止まったり(無呼吸)弱くなったりする(低呼吸)ことによって、リラックスして寝ることができず、日中の血圧が上昇します。睡眠時無呼吸症候群が疑われた際には、まず、夜間にアプノモニター(→検査)と呼ばれる簡単な機器を自分で取り付けて、寝ている間の無呼吸や低呼吸の程度を調べます。
      ツノクリでは、太っている男性や日中にうとうとしてしまう人が高血圧症になっている場合には、アプノモニターによる簡易検査をすることをお勧めしています。
      他にも頻度は少ないものの、様々な病気が2次性高血圧症の原因となりえますが、なかなか分からない場合が多いです。

Q8.血圧が変動するのですが、大丈夫でしょうか?

皆さん、年齢、季節、天候、毎日の生活、不整脈などによって変動します。

ただし、極端な血圧の変動は、脳卒中と心臓病を起こしやすいとされています。お薬を飲んでいる場合には、お薬の種類や飲む季節や時間を変更することにより、変動を多少調整することはできます。ただし、工夫をしても、日内変動を調整することは難しいです。

 ツノクリでは、多少の血圧変動はやむをえないと考えていますが、寒い季節だけ血圧のお薬を追加したり、お薬を寝る前に飲んでもらったり、血圧の変動を小さくする提案をすることがあります。

Q9.不整脈があるのですが、正確に血圧は測定できますか?

不整脈の種類にもよりますが、正確に測定するのは難しいです。

血圧は、心臓から血管に押し出される血液の圧力を測定します。不整脈があると、一拍ずつ押し出される血液の量が異なるため、圧力(血圧値)も変わってきてしまいます。そのため、不整脈がある患者さんでは、1度に2回測定することお勧めしています。2回の血圧値が大きく離れていた時には、もう一度測定して、2つから大きく外れた血圧値を除きましょう。毎日測定していれば、1日1回の測定でも、おおよその血圧は分かりますので、是非、測定して下さい。

Q10.高血圧症にはどのような治療法がありますか?

まずは、毎日の生活(→Q11)を見直します。それでも血圧が高い状態が続くようであれば、お薬(降圧剤→Q12)を飲むのが一般的です。それは、ツノクリでも同じです。

Q11.毎日の生活を変えることで血圧は下がりますか?

はい、下がります。

高血圧症は生活習慣病の一つです。生活習慣病には、肥満、糖尿病、脂質異常症などが含まれ、生活習慣を変えることにより、高血圧症だけでなく、ほかの生活習慣病も同時に良くすることができます。生活習慣を変更することは、お金もかからず、安全ですが、何年も続けてきた自分の生活スタイルを変えること、そしてそれを続けることは、とても難しいことが分かっています。

  1. ①食事(塩分)について
    1. 塩の摂取量が多いと、血圧が高くなることは良く知られています。日本人の塩分摂取量は、男性で11g前後、女性で9g前後(平成29年調査)ですが、高血圧症の患者さんでは一日6g未満が推奨されています。一般的な日本人では、塩分を減らし過ぎても困ることはない場合が多いです。ただし、食事から塩分が極端に減ると、おいしくなくなります。
      ツノクリでは、高血圧症の患者さんの、塩分摂取量ができるだけ少なくなるように応援しています。まず、麺類とみそ汁のスープを飲むことをこらえてみましょう。
  2. ②お酒について
    1. お酒は、適量なら構いませんが、飲み過ぎると高血圧を引き起こします。
      ツノクリでは、お酒は、日本酒もしくはワインは180mL/日、焼酎は90mL/日、ビールは350mL/日まで、かつ週1日の休肝日を設けることをお勧めしています。お酒を飲む量が増えると、塩分摂取量も増えることが分かっています。
  3. ③運動について
    1. 有酸素運動によって血圧が下がることが分かっています。
      有酸素運動の目安は、散歩で言えば、隣の人と息切れせずに話しながら、最も速く歩くことのできる運動です。有酸素運動をすると、運動の直後に血圧は大きく下がり、しばらくして上がりますが、わずかに下がったままの状態が2日ぐらい続きます。
      ツノクリでは、一回30分から40分ぐらい、少なくとも週に3から4日ぐらい有酸素運動の速足で散歩することをお勧めしています。天気の悪い日、調子の悪い日などは無理に歩く必要はありませんが、4日以上さぼると、歩く気分にならなくなってしまうので、ツノクリでも、散歩を続けられるように応援します。
  4. ④適正体重を保つことについて
    1. 食事と運動を上手に調節しながら、適度な(適正)体重を保ちましょう。
      適正体重は、身長(m) × 身長(m)× 22で計算できます。適正体重は、身長150cmならおおよそ50kg、160cmならおおよそ56kg、170cmならおおよそ64kgです。
      ツノクリでも、適正体重を保つことをお勧めしますが、極端に太ったり痩せたりしていなければ、それで良いと考えています。75歳までは体重が増えてきたことに、75歳からは体重が減ってきたことに、気を付けましょう。
  5. ⑤タバコについて
    1. 喫煙すると、高血圧症になりやすいことが知られています。
      ツノクリでは、禁煙を強くお勧めしています。ツノクリでは、皆さんにとって大切なことは、できるかぎり長い間、元気で充実した生活を送ることだと思っています。タバコによって、皆さんと周りの人が元気で充実した生活を送る時間が短くなってしまうことは、とても残念でなりません。タバコを吸う人にとって、禁煙はとても難しいですが、失敗しても、何度でも挑戦してください。ツノクリも、皆さんの禁煙を応援します。さらに、ツノクリでは、禁煙したいけどできないひとに禁煙指導(→禁煙外来)を行っています。一定の条件を満たせば、保険診療で禁煙指導を受けることもできます。電子タバコは、新しいタバコのため、高血圧症との関連は今のところはっきりとはわかっていません。ただ、タバコに含まれる有害物質に関しては、一般の紙タバコと同様もしくはそれ以上のため、健康に与える影響はあまり変わらないと考えられています。

Q12.「いったんお薬を飲んだらやめられない」と聞いたのですが、本当ですか?

いいえ、中止することができます。ただし、とても難しいのも確かです。

まず、高血圧症には年齢と生活習慣が大きく関わってきます。特に、一般的には、歳を取ればとるほど血圧が高くなることが知られています。皆さんも、学生時代には血圧のお薬を飲んでいた友達はいなかったはずなのに、久しぶりに同窓会に行くと、血圧のお薬を飲んでいる人が多いことに驚かされるはずです。年齢を巻き戻すことができないように、血圧を下げることも簡単にできません。つまり、「いったんお薬を飲んだらやめられない」のではなく、「歳と共に血圧が上がるため、お薬はやめることが難しくなる」のです。

では、お薬を飲まなければ良いのでしょうか。お薬を飲まずに、血圧が高いまま放っておけば、動脈硬化が進んで、さらに血圧が高くなります。つまり動脈硬化がより速く進み、高血圧がより重症化して、より治療が難しくなります。皆さんが予防すべきは、脳卒中と心臓病になること、つまりは動脈硬化が進むことです。そのために血圧を下げる必要があるのです。

Q13.高血圧に「特定保健用食品(トクホ)」は効果がありますか?

お勧めはしていませんが、皆様の判断にお任せします。

「特定保健用食品(トクホ)」とは、食べ物や飲み物が、治療に効果があることを示して、国の審査をもとに、消費者庁のお墨付きをもらうものです。

もともと、お薬は様々な食べ物(植物や動物)のエキスなどを濃縮したものです。トクホは食べ物や飲み物ですから、薄めたお薬であるとも考えられます。つまり、効果も弱く、副作用も少ない、わずかなお薬が含まれた食べ物や飲み物ということになります。ただし、トクホは、普通の食べ物や飲み物と比べて、かなり高いものが多いです。

ツノクリでは、その割高な値段から、トクホをお勧めしてはいませんが、皆さんが前向きに治したいと思う気持ちや日々努力をしている姿は応援します。ただし、かなり高額な食品などを(特に定期的に)買うことや、食品などを友人などに薦めることには、賛成できません。自分にとって合うトクホが、必ずしも友人の体に合うとは限りません。それぞれの人に、好きな食べ物と嫌いな食べ物があるのと一緒です。

Q14.血圧を下げるお薬にはどんなものがありますか?

血圧を下げる様々なお薬があります。一つのお薬の量を増やすよりも、少ない量のお薬を多く組み合わせて飲むほうが、より血圧が下がることが分かっています。そのため、次にあげるような種類の血圧を下げるお薬を複数組み合わせて飲むのが一般的です。

  1. ①Ca拮抗薬/カルシウム拮抗薬
    1. 血管を広げることによって血圧を下げるお薬です。最も広く使われ、効果が確実で、重大な副作用が少ないことお薬としても知られています。高血圧症のみを持つ患者さんに積極的に使われています。副作用として、むくみやほてりなどが起きることがあります。
  2. ②ACE阻害薬もしくはARB/エーシーイー阻害薬もしくはエイアールビー
    1. 血圧を上昇させるホルモンを抑えることにより、血圧を下げ、心臓や腎臓に良い効果をもたらすことが知られているお薬です。そのため、心臓病や腎臓病(糖尿病を含む)を持つ患者さんに積極的に使われています。ACE阻害薬の副作用として、空咳が出現することがありますが、患者さんが困らなければ、内服を続けることもあります。ACE阻害薬の副作用である空咳が出ないようにしたお薬がARBですから、ACE阻害薬からARBに変更することによって、空咳がなくなる、もしくは大幅に減ります。ACE阻害薬もしくはARBを飲むと、腎臓の能力が低下したように見えることがありますが、血液検査上での見かけの低下のため、お薬を中止すると元に戻る場合がほとんどです。
  3. ③サイアザイド系利尿薬
    1. 最も安く、効果が確実で、尿に塩分を排泄することによって血圧を下げるお薬です。特に、毎日の塩分摂取量が多い、拡張期血圧(下の血圧)が高い患者さんに積極的に使われています。副作用として、トイレに行く回数が増えることがあります。サイアザイド系利尿薬を飲むと、腎臓の能力が低下したように見えることがありますが、血液検査上での見かけの低下のため、お薬を中止すると元に戻る場合がほとんどです。
  4. ④β遮断薬/ベータ遮断薬
    1. 緊張を抑えることによって、血管の緊張をほぐし、心拍数(脈拍数)を抑え、心臓に良い効果をもたらすことが知られているお薬です。そのため、心臓病を持つ患者さんに積極的に使われています。副作用として、気管支喘息の患者さんは気管支喘息の発作が出たり、特に、高齢の患者さんでは、心拍数(脈拍数)が極端に遅くなったりすることがあります。そのため、少量から慎重に使います。

Q15. 血圧を下げるお薬にはどのような副作用がありますか?

血圧を下げる全て種類のお薬に、ふらつきや立ちくらみなどを起こす副作用があります。

血圧を下げることによって、頭に流れる血液が一時的にわずかに減ってしまうことによって生じます。脳を栄養する血管がつまってしまう(脳梗塞)わけではありませんから、続けて飲んでもらうこともありますが、転んでしまうこともありますので、もちろん中止することもあります。ここに書いた副作用の他にも、人それぞれに色々な副作用が出ることがあります。副作用かなと思った時には、ツノクリにいつでも相談してみてください。

Q16. 血圧の治療目標値はありますか?

はい、あります。

ちゃんと血圧を管理することが、脳卒中と心臓病を減らすことが分かっていることから、ツノクリでは、患者さんと相談しながら血圧値の目標を決めます。特に、高齢の患者さんは、十分に血圧を下げることが難しかったり、お薬によって血圧が下がりすぎたりすることがあるので、厳しい血圧管理を無理にお勧めすることはありません。

第一版 2021年07月01日

 
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