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予防接種について

はじめに

 人類は、その誕生から現在まで、病原体との戦いを繰り返しています。ヒトを含む多くの動植物には、必ず、寄生する微生物がいると考えて間違いありません。自分の体に微生物が住んでいると聞くと、あまり良い気分ではありませんが、私達はこれらの微生物と上手に付き合って生きています。健康な状態では、これらの微生物は、ヒトの体内の決まった場所に集団で生活しており、病原体から体を守ってくれるだけでなく、食べ物の消化や吸収を助けたりする重要な役割を果たしています。

 一方で、特定の微生物が、体の中に侵入して望まれない場所で増殖し、ヒトに害を及ぼすようになると、感染症と呼ばれ、微生物は病原体と呼ばれるようになります。体の中に微生物が侵入するのは日常茶飯事ですが、ヒトに感染症を引き起こすためには、微生物は爆発的に増える必要があります。そのため、ワクチンには、感染症発症の予防のため、体中での微生物の増殖を抑える働きがあります。ただし、微生物はヒトと上手に付き合って生きていますので、多くの微生物に対するワクチンは必要ありません。一方で、感染力が強く、かつ人を死に至らしめる微生物や重度の後遺症を残す微生物に対するワクチンは必要になります。

 いずれのワクチンも、その作用機序に大きな違いはありません。弱らせた病原体や病原体の一部を、ワクチンとしてヒトの体に投与(接種)します。すると、ヒトの免疫機能が反応して、病原体の一部に対する抗体が産生されます。これにより、弱らせた病原体や病原体の一部は体内から排除されます。さらに、ヒトの免疫機能が、病原体の一部を認識して記憶することで、同じ病原体(の一部)が再び体内に入ってきた(病原体に感染した)際には、すぐに抗体が産生できるように準備しておくことができるようになります。このワクチンの効果は、ワクチンの種類によって、数か月から死ぬまで(終生免疫)有効です。

 ツノクリでは、ワクチンの有益性に基づいて、ほとんどのワクチンについて、接種を推奨しています。その理由として、小児期にワクチンを接種しなかった人が、成人になってからこれらの病原体に感染すると、重症化する危険性が高くなることが分かっているからです。そして、感染すれば、周囲のワクチン未接種の乳幼児やワクチンを打つことができない人に、うつしてしまう恐れもあります。ツノクリでは、いずれかかる可能性がある、もしくはかかれば重症になってしまう感染症に立ち向かうには、ワクチン接種が最も有効な手段である、と考えています。自分を、そして周囲の人たちを守るためにも、ワクチンを利用しない手はない、とも思っています。ただ、ワクチン接種を躊躇したり拒んだりする人の気持ちも良く分かります。国内でもワクチン接種の後遺症で悩む人は少なくありませんし、私もワクチンを接種する際には、ワクチンの副反応や副作用(→Q7)の心配をします。ワクチン接種に良い悪いはありませんので、最後は、自分自身で考えて、そして決める必要があると思っています。

 

Q1. 皆が、必ず、ワクチンを打つ必要がありますか?

 いいえ、必ずしもワクチンを打つ必要はありません。

 ワクチンを打つことは強制では無いため、打つかどうかは、皆さんの意志によって決めることができます。もちろん、広い意味では、ワクチンを打つ有益性が有害性に勝る場合はありません。
 現在、広く利用されているワクチンは、感染と発症を予防して、重症化するのを防ぐことが分かっているものです。ワクチンの種類によっては、癌の発症を減らすことができることも分かっています。ただし、どれほど安全なワクチンを作っても、ワクチンを打つことによって副反応や副作用(→Q7)を生じることは、必ずあります。特に、ワクチンは、健康な人に打つこともあるため、健康な人を病気にしてしまう可能性があります。一方で、一部のワクチンは、免疫機能が低下している患者さんや感染症にかかっている患者さんには打つことができない場合もあります。

Q2. ワクチンを打つことができない人には、どのような人がいますか?

 ワクチンを打つことができない人には、次のような人たちがいます。

  1. ワクチンを打つ必要のない人(肺炎球菌ワクチン5年毎など)
  2. 体温37.5度以上の人
  3. 病気の状態が安定していない人
  4. 過去に同じワクチンでアレルギーを起こした人
  5. 免疫機能の低下した人(高容量の免疫抑制薬を使用中の患者さんを含む)、生物学的製剤使用中の患者さん、妊婦さんへの生ワクチン

 これらの人たちはワクチンを打ちたくても打つことができません。そのため、これらの人たちの感染を防ぐためにも、ワクチンを打てる人は打つと言う考え方は素晴らしいことだと思います。

Q3. ワクチンには主にどのような種類がありますか?

 ワクチンの種類には、主に生(なま)ワクチン、不活化ワクチン、mRNAワクチンがあります。

 全てのワクチンは、ヒトの体の免疫機能を利用して、病原体に対する抗体を産生し、同じ病原体に再び感染した際に、すぐに抗体が産生できるように準備します。

Q4. 生ワクチンと不活化ワクチンは、何が違いますか?

 生ワクチンには弱らせた病原体が、不活化ワクチンには病原体の一部が入っています。

 生ワクチンには弱らせた病原体が入っているので、生ワクチンを打った人は、必ず、弱いながらも病原体に感染します。そのため、免疫機能が低下している患者さんや妊婦さんなどには打つことができません。体に入った病原体には、体の免疫機能が作用して、病原体に対する抗体が産生されます。産生された抗体は、弱らせた病原体を駆逐します。一方で、体の免疫機能は、同じ病原体に再び感染した際に、すぐに抗体が産生できるように準備しておきます。
 不活化ワクチンは病原体の一部が入っているので、病原体に感染することはありません。ただし、体の免疫機能は、病原体の一部を異物として認識して、病原体の一部に対する抗体を産生します。産生された抗体は、病原体の破片を体の外へ追い出します。一方で、体の免疫機能は、病原体の一部を認識することで、同じ病原体の一部が再び体内に入ってきた(病原体に感染した)際に、すぐに抗体が産生できるように準備しておきます。

Q5. mRNAワクチンとは、どのようなワクチンですか?

 mRNAワクチンは、体内に病原体の一部の設計図を送り込んで、体内で病原体の一部を産生させるワクチンです。

 生き物の体の中では、常に、その必要量に応じてさまざまな物質を産生しています。それらの物質の設計図となるのがDNAです。ただ、体の中での物質の産生を調整するためには、DNAそのものでなく、DNAから作られる情報伝達物質のmRNA(メッセンジャーRNA)というタンパクを利用します。mRNAは細胞に取り込まれ、細胞はmRNAの設計図に従い、さまざまな物質を産生します。
 mRNAワクチンには、病原体の一部の情報を記録したmRNAが入っています。体の中に入ったmRNAは、細胞に取り込まれ、細胞はmRNAの設計図に従い、病原体の一部を産生します。その後は、病原体の一部を投与する不活化ワクチンと同様の経過をたどります。その結果、体の免疫機能は、同じ病原体の一部が再び体内に入ってきた(病原体に感染した)際に、すぐに抗体が産生できるように準備しておきます。

Q6. 複数回のワクチンを打つ際には、どの程度の間隔を開ければ良いですか?

 ワクチンの種類によって、投与間隔に決まりがあります。

  1. 生ワクチンと生ワクチンを打つ場合には28日間以上あける必要があります
  2. mRNAワクチンであるコロナワクチンを打つ場合には、前後14日間以上あける必要があります
  3. 同じ病原体に対するワクチンを複数回打つ場合には、ワクチンごとに投与間隔が決まっています。

 一方で、不活化ワクチンを打つ場合には、上記の決まりを守れば、いつ打っても構いません。

 ツノクリでは、もちろん、上記の1から3の間隔を守っていますが、同日に2種類以上の不活化ワクチンを打つことはしていません。その理由は、万が一、副反応や副作用(→Q7)が出現した際に、症状が強くならないように、そして、どちらのワクチンによるものかを区別しやすいようにするためです。

Q7. ワクチンの副反応と副作用にはどのようなものがありますか?

 ワクチンの副反応と副作用にはさまざまな症状(どんなことでも起こる可能性)があります

 正確には、副反応と副作用は異なりますが、一般的には副反応と副作用とひとまとめにします。

  • ワクチンの副反応:ワクチンが引き起こす免疫反応に関連して生じた不利益
  • ワクチンの副作用:ワクチンが引き起こす免疫反応に関連せずに生じた不利益

 生ワクチン(→Q4)では、弱らせた病原体に感染させるので、体の免疫反応に関連した症状(一時的な接種部位の腫脹や疼痛、発熱、全身倦怠感など)だけでなく、病原体の感染に準じた症状が出現することがあります。一方で、不活化ワクチンやmRNAワクチンは、体の免疫反応に関連した症状(一時的な接種部位の腫脹や疼痛、発熱、全身倦怠感など)が出現することがあります。もちろん、全てのワクチンには病原体(の一部)や添加物が入っていますので、アレルギー反応などが起きることがあります。

Q8. 卵アレルギーがあるのですが、ワクチンを打つことはできますか?

 はい、ワクチンを打つことができます。

 一般的には、卵アレルギーがあっても、鶏卵由来成分が入っているワクチンを接種することができます。鶏卵由来成分が入っているワクチンには、MRワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、インフルエンザワクチン、狂犬病ワクチン、黄熱病ワクチンの6種類があります。いずれも、高純度に生成されているため、わずかな鶏卵由来成分しか含まれていませんので、安全にワクチン接種できることが知られています。実際に、2018年の欧米の報告でも、インフルエンザワクチン接種と卵アレルギーの有無で調査しても、危険性や副反応や副作用の発生頻度に差はありませんでした。そのため、欧米では卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンを接種するように推奨されています。

 ツノクリでは、ワクチン接種で最も大切なことは、患者さんの意思だと考えています。ワクチンを打つことによる有益性と危険性だけでなく、患者さんの不安や心配などを考えて、最終的にワクチンを打つかどうかは患者さんと相談しながら決定します。そのため、鶏卵アレルギーによる全身症状やアナフィラキシーショックがあった人には、控えることをお勧めする場合もあります

Q9. 妊娠(授乳)しているのですが、ワクチンを打つことはできますか?

 生ワクチン(→Q4)は打てませんが、不活化ワクチンであれば打つことができます。

 不活化ワクチン(→Q4)は、妊娠経過や胎児に影響を及ぼさないことが知られています。そのため、妊婦さんも授乳中の女性も不活化ワクチンを打つことができます。もし、不活化ワクチン接種後に、妊娠経過や胎児に何らかの異常がみられても、不活化ワクチンとの因果関係はありません。
 生ワクチンは、妊婦さんに打つと胎児に移行する可能性があります。そのため、妊婦さんは、生ワクチンを打ってはいけませんし(→Q2)、妊娠していなくても、生ワクチンを打ったら4週間の避妊が必要です。一方、授乳中の女性には、生ワクチン(黄熱病生ワクチンを除く)を打つことができます。万が一、妊婦さんに生ワクチンを打ってしまっても、実際は、胎児の死亡や異常を増加させないとされています。そのため、妊娠の中断を決断する必要はありません。

 ツノクリでも、妊婦さんとパートナーには、インフルエンザワクチン接種(不活化ワクチン)(→Q18)を打つことをお勧めしています。特に、妊娠中(特に妊娠末期にかけて)は、インフルエンザ感染症が重症になる可能性が高いだけでなく、インフルエンザ感染により自然流産、早産、低出生体重児が増えてしまいます。妊婦さんのインフルエンザワクチン接種は、妊婦さんと胎児をインフルエンザ感染から守るだけでなく、生後6カ月まで、赤ちゃんのインフルエンザ感染を減らすことも知られています。

Q10. 成人に打つワクチンにはどのようなものがありますか?

 成人に打つワクチンには、複数のワクチンがあります。

 ツノクリで接種するできることができるワクチンは、次のワクチンになります。

具体的には、5種類の生ワクチン(→Q4)、①MR(麻疹+風疹)ワクチン、②麻疹(はしか)ワクチン(→Q11)、③風疹(3日ばしか)ワクチン(→Q12)、④流行性耳下腺炎(おたくふくかぜ)ワクチン(→Q13)、⑤水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹ワクチン(→Q14)、と、5種類の不活化ワクチン⑥A型肝炎ワクチン、⑦B型肝炎ワクチン、⑧破傷風ワクチン、⑨インフルエンザワクチン(→Q18)、⑩肺炎球菌ワクチン(→Q19)、があります。新たに、2021年からは、mRNAワクチンである⑪新型コロナウイルスワクチン(→Q20)、と不活化ワクチンである⑫帯状疱疹ワクチン(→Q17)が加わりました。

Q11. 麻疹(はしか)はどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 麻疹ウイルスは、感染力がとても強いウイルスで、ワクチンがとても有効です。

 麻疹は、とても感染力の強いウイルスで、同じ部屋にいると(免疫が無ければ)90%が感染し、100%発症するとされています。感染によって重症になる可能性があり、免疫機能が低下した人や妊婦さんでは死亡率が高いことが知られています。
 小児期のワクチン接種普及により、日本ではほとんど見られなくなってきました。しかし、今でも国内で年間400人近くが麻疹にかかり、その15%程度は海外(特に東南アジア)からの帰国者です。2回のワクチン接種により、98.5%の人の抗体価上昇が確認され、小児期に接種することが推奨されています。ワクチン接種による主な副作用は、接種5~10日後の発熱で15%程度にみられます。

Q12. 風疹(3日ばしか)はどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 風疹ウイルスは、妊婦さんの感染により、胎児に重篤な病気を起こすウイルスで、ワクチンがとても有効です。

 風疹は、感染しても発症しない人が25~50%程度います。一方で、発症すると微熱をきたし、全身のリンパ節腫大と膨隆した紅斑が出現します。妊婦さんがかかると、自然流産、胎児死亡、先天性風疹症候群(妊娠12週までにかかると85%発症)を引き起こします。妊婦さんに接種できない生ワクチン(→Q4)のため、周りの人たちがワクチン接種をして、妊婦さんを守ってあげることが大切です。
 2回のワクチン接種により、98%以上の人の抗体価上昇が確認され、小児期に接種することが推奨されています。ただし、1962年(昭和38年)4月2日から1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性は、小児期に風疹ワクチンを打っていません。2022年1月現在(2022年3月31日まで)、葛飾区では、19歳以上の男性を対象に、抗体検査の全額助成と風疹の予防接種費用の全額助成をしています。妊婦さんを守るためにも、この機会に、是非、検査を受けることを検討して下さい。ワクチン接種による主な副作用は、発疹(5%程度)と発熱(5~15%)がみられます。

Q13. 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)はどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 流行性耳下腺炎は、難聴をきたすことがあるムンプスウイルスによる感染で、ワクチンがとても有効です。

 流行性耳下腺炎は、感染しても発症しない人が30%ぐらいいます。発症すると、唾液腺の中でも耳下腺に感染して炎症を起こします。普通の風邪でも耳下腺に炎症を起こすため、流行性耳下腺炎と診断することは、とても難しいです。特に、難聴(0.01~0.5%)と無菌性髄膜炎(1~10%)が重篤で、難聴は回復しないことが分かっています。
 1回のワクチン接種により、90%以上の人の抗体価上昇が確認され、小児期に2回のワクチン接種が推奨されています。ワクチン接種による主な副作用として、接種20日後の耳下腺腫脹(0.2%)があり、無菌性髄膜炎は100万人に1人みられるとされています。

Q14. 水痘(みずぼうそう)はどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 水痘は、感染力の強いバリセロゾスターウイルスによる感染で、ワクチンがとても有効です。

 水痘は、感染性の高いウイルスで、予防接種が普及するまでは、毎年100万人(子供が90%)が感染していました。皮膚の発疹や発赤や水泡が体のあちこちに出てきます。成人では、肺炎をきたしたり、脳脊髄に感染して重症化したりする患者さんもいます。ウイルスは、水痘治癒後も、脊髄や頭頚部の神経細胞に潜伏して、帯状疱疹(→Q15)として発症することがあります。
 1回のワクチン接種により、80%程度の人の抗体価上昇がみられ、2回のワクチン接種でほぼ100%の人に抗体が獲得できます。ワクチン接種による主な副作用として、5~26日後に5%程度に水泡がみられ、皮膚の水疱から(ワクチン未接種者などに)感染することがあります。

Q15. 帯状疱疹とはどのような病気ですか?

 帯状疱疹は、水痘の原因ウイルスが、発疹と神経痛を引き起こす病気です。

 帯状疱疹は、水痘の原因であるバリセロゾスターウイルスが、脊髄や頭頚部の神経に潜伏し、歳を取って免疫力が低下した際に発症します。患者さんのほとんどが50歳以上で、特に免疫機能低下した場合に発症しやすくなります。脊髄と頭頚部の神経に潜伏しているウイルスが再活性化するため、体の神経分布に沿った帯状の発疹(水泡)とピリピリとした痛み(かゆみ)がみられることが特徴です。一般的に、発疹と痛みは数日単位で軽減してきますが、一部の患者さんでは、生涯にわたり色素沈着や神経痛(帯状疱疹後神経痛→Q16)が残ったりすることがあります。
 帯状疱疹ワクチンには、水痘・帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)と2021年に販売が開始された帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)の2種類があります(→Q17)。有効で安価な生ワクチンと、長期間に渡り強力な効果が続く高価な不活化ワクチンです(→Q4)

Q16. 帯状疱疹後神経痛とはどのような病気ですか?

 帯状疱疹発症後に、発疹が出現した部位を中心に3か月以上の神経痛が続く病気です。

 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹をきたす患者さんの3%にみられ、60歳以上の患者さんに多く、帯状疱疹の症状が強い患者さんほど帯状疱疹後神経痛をきたしやすいことが分かっています。
 抗ウイルス薬(バルトレックスなど)を発症後早期に飲むことによって、帯状疱疹後神経痛を減らすことができることが分かっています。そのため、帯状疱疹と診断された(疑われた)際には、できるだけ早く抗ウイルス薬を飲み、帯状疱疹後神経痛を予防することが大切です。

Q17. 新しい帯状疱疹ワクチンはどのようなワクチンですか?

 新しい帯状疱疹ワクチンは、強力な効果が持続する不活化ワクチン(→Q4)です。

 従来からある水痘・帯状疱疹ワクチンと新たな帯状疱疹ワクチンのどちらが好ましいかは、接種を希望する方の考え方によると思います。

 ツノクリでは、帯状疱疹ワクチンを希望される方の中で、70歳未満で免疫機能に異常がない方なら水痘・帯状疱疹ワクチンの接種を、免疫機能が低下しているなら帯状疱疹ワクチンをお勧めしています。ただ、帯状疱疹後神経痛の辛さと怖さを知っている方であれば、帯状疱疹ワクチンを打っても良いと考えています。ただし、帯状疱疹ワクチンは自費診療のため、それぞれのクリニックが値段を決めることができます。ツノクリでも2回合計で44,000円と高額なため、決断には勇気が必要そうです。

○ 帯状疱疹ワクチン

  弱毒水痘・帯状疱疹ワクチン 帯状疱疹ワクチン(シングリックス)
種 類 生ワクチン 不活化ワクチン
効 果 帯状疱疹発症を51%減少帯状疱疹後神経痛を67%減少 帯状疱疹発症を90-98%減少帯状疱疹後神経痛を85-95%減少
持続期間 5~10年 10年以上
接種法 皮下注射 筋肉注射
接種回数 1回 2回(2~6か月間隔)
主な副反応 接種部位の疼痛 接種部位の疼痛・腫脹・筋肉痛
その他 生ワクチンのため弱毒株に感染 50歳以上、免疫機能が低下した人
費用(税込) 6,600円/回@ツノクリ 20,000円/回@ツノクリ

 

Q18. インフルエンザはどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 インフルエンザは毎年、冬になると流行するウイルスで、ワクチンの効果はワクチン株の予測が当たるかによって大きく左右されます。

 インフルエンザは、感染性が高く、毎年、冬になると流行する季節性ウイルスとして認識されています。一般的には、ひどい風邪症状(高熱や全身倦怠感など)を引き起こします。ほとんどの患者さんが7日間程度で改善しますが、新生児や高齢者、妊婦が感染すると、肺炎や脳炎など重篤な症状をきたすことがあります。
 インフルエンザワクチンの効果は、予測する不活化ワクチン(→Q4)の株が当たるかどうかに大きく左右されます。毎年のインフルエンザの流行により、皆さんの体内にはインフルエンザウイルスに対する抗体が産生され、次の感染の際には、すぐに抗体が産生できるように準備しているはずです。ところが、インフルエンザは、毎年、冬になると流行します。これは、流行するインフルエンザウイルスが、毎年、姿を変えて同じ抗体を持つことが無いためです(同じ抗体では流行しません)。そのため、研究者たちが、今年はどのようなインフルエンザウイルスが流行するかを予測して、不活化ワクチンを作り上げます。その予測が当たれば、かなり有効ですし、予測が大きく外れれば、ほとんど効果がない場合もあります。ワクチン接種による主な副作用として、接種部位の腫脹と疼痛がありますが、他の不活化ワクチンと比べて特徴的な副作用はありません。

 2020-2021年の冬は、日本国内でインフルエンザは流行しませんでした。感染予防策であるマスクや手洗いなどが徹底されたことが主たる要因と考えられますが、実は、インドやバングラディッシュなどではインフルエンザの小流行がみられています。100年間で4回(最近は2009年)のパンデミックをきたしたインフルエンザウイルスですから、このまま終息するとは考えないほうが良いでしょう。

Q19. 肺炎球菌はどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 肺炎球菌は、重症化する肺炎や髄膜炎などを起こしやすい細菌で、不活化ワクチン(→Q4)の効果によりこれらの感染症を45%程度減少させます。

 肺炎球菌は、健康な人の体にも住んでいますが、風邪などをきっかけに感染症を発症させます。感染症は肺炎などの気道感染症だけでなく、菌血症や髄膜炎などもきたすため、これらをまとめて侵襲性肺炎球菌感染症と呼びます。一般的な肺炎は、肺炎球菌が原因であることが最も多く、他の細菌で起きた肺炎と比べて、急速に重症化することがあります。抗生物質が普及した現在でも、日本の死因の第5位は肺炎で、亡くなる患者さんの98%が65歳以上の高齢者です。そのため、65歳以上では、侵襲性肺炎球菌感染症を起こさないようにすることが重要です。
 肺炎球菌には93種類の亜型がありますが、現在、使用されている肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP」は、そのうちの23種類に効果があります。また、成人の重症肺炎球菌感染症の64%が、この23種類の肺炎球菌によるものであると考えられています。肺炎球菌ワクチンを打つことにより、侵襲性肺炎球菌感染症を45%減少させることが知られ、効果は5年程度持続するとされています。

 2022年1月現在、葛飾区では、65歳以上の初回ワクチン接種者を対象に「接種票」が郵送され、その「接種票」を利用して1,500円で肺炎球菌ワクチンを接種することが可能です。なお、2回目からの肺炎球菌ワクチン接種は自費診療となります。ワクチン接種による主な副作用として、接種部位の腫脹と疼痛がありますが、他の不活化ワクチンと比べて特徴的な副作用はありません。

Q20. 新型コロナウイルス感染症はどのような病気で、ワクチンはどの程度有効ですか?

 2019年に流行が始まった、肺炎を起こすウイルスで、ワクチンで重症化を防ぐことができます。

 新型コロナウイルス感染症は、時々刻々とウイルス株を変化させることによって流行を繰り返し、今でも人類を脅かす感染症になっています。コロナウイルスは、従来、私達に風邪を起こす程度のウイルスでした。しかし、2019年ごろに知られるようになったウイルス株は、急速に重症化して死に至らしめる肺炎を引き起こす新型コロナウイルスとして知られるようになりました。現在でも、ウイルス株が変化し続けているため、ここで新型コロナウイルス感染症の詳細を記載することはしません。

 新型コロナウイルスワクチンは、ウイルス株にもよりますが、かなり有効であると考えて間違いないようです。ただし、一般的なワクチンの開発と応用には、十年単位の歳月を要しますが、新型コロナウイルスワクチンについては、その重要性と切迫性から、わずか1年程度しかかかっていません。さらに、一般の人にとってはmRNAという得体のしれないワクチンを恐れたり、比較的強い副反応を知ることでワクチンに拒絶反応を示したりすることも、理解できます。臨床研究でmRNAを測定していた私からみれば、mRNAは情報伝達を果たすたんぱく質に過ぎないと考えてはいますが、さすがにワクチンとして打つとなると気持ちの良いものではありません。今後、これだけの人たちへのワクチン接種がどのような結果を生むかは分かりませんが、現時点では人類の叡智を信じるしかない、とも考えています。

第一版 2021年11月1日

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