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健康は週に1~2日の散歩から

[2023.04.20]

 先日、京都大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の共同研究グループにより、散歩の頻度が健康に与える影響を検討した研究結果(JAMA Netw Open. 2023; 6(3):e235174.)が公表されました。
 その報告では、全ての原因による死亡率が、1日に8,000 歩以上を週1日も歩いていない人に比べて、1~2日歩いている人で14.9%、3日以上歩いている人で16.5%低いこと、また、心臓や脳血管を原因とする死亡率についても、1~2日歩いている人で8.0%、3日以上歩いている人で8.4%低かったこと、が示されました。つまり、1日8,000歩を週に1~2日歩くだけで、寿命と健康に良い影響を及ぼす可能性が示唆されました。この研究結果は、忙しくて運動できない私たち現代人に勇気を与えてくれることから広く報道され、話題となりました。

 一方で、この研究報告の原文を読むと、私たちが理想的な運動を考えるにあたり、注意する点があることにも気が付きます。
 まず、本研究は、観察研究と呼ばれる手法をとっており、参加者の情報(年齢、性別、人種、体格指数、喫煙歴、病気など)が限られ、参加者たちの条件が平等ではありません(ただし、完全に平等にするのは不可能です)。例えば、研究の対象者が、どのくらい健康に気を遣っているかについて調べられていません。普通に考えれば、週に1日も歩かない人たちと比べれば、週に7日歩く人たちのほうが、健康に気を遣っていると考えられます。しかし、その点は解析に含まれていません(データがありません)。また、研究に参加した人たちは、(日本人ではなく)20 歳以上の米国人3101 人(平均年齢50.5歳、女性51%)です。さらに、歩いた歩数の測定は最初の1週間のみ調査され、その1週間サボった人、また1週間だけ頑張った人が居るかもしれません。
 ただし、それらの注意点を差し引いても、全く歩かないよりも、週に1日でも歩いたほうが良いという結果は、皆さんに運動してもらうきっかけとして、力強い後押しになります。

 ツノクリでは、従来から、理想的な運動療法として、
 ・ 内容:(隣の人と会話できる程度の速度での)散歩
 ・ 時間:10,000歩(もしくは1時間40分程度)
 ・ 頻度:週に3~4日(2日に1日程度)

 をお勧めしてきました。

 もちろん、この通りに運動できる人は(私を含め)ほとんどいませんが、無理のない範囲で理想的な運動を目指すことが大切だと思っています。ツノクリでは、自分なりのペースで頑張る皆さんの運動を応援しています。
 最後に、運動をする際に最も大切なこと、それは、安全に行う(運動による怪我や病気を起こさない)ことです。当たり前かもしれませんが、天候や体調が優れない時には、お休みする勇気が大事です。

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